女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム2015

会長、社長兼CEO
マリリン A. ヒューソン

 

 

日本、東京 2015年8月28日金曜日

 

 

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会長、社長兼CEO
マリリン A. ヒューソン

小谷真生子(コタニ・マオコ)さんありがとうございます。「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」に参加し、多くのリーダーや世界中の著名なゲストの方々にお会いすることをうれしく思います。また、リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領と同じに壇上に上がることに恐縮しています。大統領の発言には本当に勇気づけられるということを皆さんもご存知だと思います。

まずはじめに、私たちがここに集まることができたのは、安倍総理大臣ならびに岸田外務大臣のおかげです。日本および世界における女性の機会拡大のリーダーシップを取ってくださっていることに感謝します。このシンポジウムが始まってまだ2年しか経っていませんが、もう結果を残しています。日本が女性の活躍とリーダーシップを勧めることで全世界を感心させています。

総理、あなたは女性が活躍できる社会を作るためのビジョンを描きました。これは重要な挑戦であり、世界にとって大きなチャンスです。ここにいる皆様は、女性の持つ可能性を理解し、未来への希望を共有していることでしょう。実力のある女性は日本中の、ひいては世界中の人々の利益になるのです。

ロッキード・マーティンでは、これを間近で見てきました。女性は常に私たちの活動に参加してきたというのが事実です。グレン・マーティンが100年以上前、最初の飛行機を作っていた時、夜遅くまで作業場で仕事をする彼を支えていたのは母親のミンタ・マーティンでした。その後何十年もの間、何千人もの女性が工場や生産ラインで働き、彼の飛行機を完成させました。

こういった遺産があるにもかかわらず、女性が航空産業および防衛産業で活躍する機会は少ないのが現実です。特に管理職や技術分野がそうです。私は30年前、この職業に就いた時これをじかに見ました。部屋の中で女性が私一人ということがよくありました。このシンポジウムに参加し、ロッキード・マーティンの経験談をお話しする機会をうれしく思うのもこういった理由からです。難しいけれども変えていくことが可能だということを、私たちの経験が証明しています。

現在、私は、ロッキード・マーティンの最高経営責任者として11万2千人の従業員を代表していることを誇りに思います。22%の管理職を含め、従業員の内25%は女性です。また、役員の3分の1も女性です。これらの数字は個々の女性だけではなく、会社全体にとって利益になります。

いろんな経験から新しい考え方が生まれるため、会議において多様性があるということは、より多くの革新とより効果的な打開策が生まれるということになります。いろんな経験と考え方を持った人がいることで、みんなの向上心が高まり、想定を啓発でき、より創造的な考え方ができるようになります。

初期の音声認識ソフトウェアがいい例です。この革新が初めて開発された時、大発見だと絶賛されました。ただ、一つ問題がありました。最初のバージョンは女性の声ではうまく機能しませんでした。設計チームに女性がいなかったため、試作品を女性でテストしなかったのです。結果として、ソフトウェアは主に低音域を拾う設計になってしまいました。Siriはこれを承認していなかったでしょう。もしチームに女性がいたら、何が欠けているか分かり、最初からよい製品の設計ができていたでしょう。

よりよい製品を作ることがビジネスの成功の秘訣です。これがまさにロッキード・マーティンで見てきたことです。ここ10年の間、私たちは記録的な成長と革新を実現しました。多様性と包含戦略それを受け入れる事が成功の鍵だったと私は信じています。私たちは、売り上げを100億ドル増加させると同時に、会社100年の歴史の中で最大のプログラムをいくつか始めました。また、株価も同じ時期に4倍近くになりました。

調査による裏づけもあります。ビジネス界の女性に焦点を当てた世界非営利団体、カタリストは女性が管理職にいる時の会社の業績に関する大規模な調査をしました。最新の報告によると、役員に複数の女性がいる会社は、役員が男性のみの会社と比べて、投資資本に対して26%高い収益を上げていることが分かりました。

マッキンゼーは同様の調査をし、女性の管理職がいる会社は、「組織健康度」に関してより高いスコアを出したことを発見しました。健康度とは、職場環境全体において従業員がより責任を感じ、より強い意欲を持ち、より積極的に考えることです。簡単に言えば、女性が実績を伸ばせる職場が全体としても実績を伸ばせる会社なのです。私たちはそれを目指していかなければなりません。

しかしながら、女性に実力を発揮してもらうことで得られる利益があるにもかかわらず、残念ながら女性の可能性はまだ見い出されていません。昨年、フォーチューン500企業の女性最高経営責任者の数は過去最高でした。それにもかかわらず、全体の5%しか占めていません。日本では、この数は3%程に過ぎません。まだやるべきことがあることをデータが明らかに示しています。幸いなことに、やり方はわかっています。全ての人が最高の仕事をする文化をどう推進するかを私たちは正確に分かっています。

今日は、ビジネスにおいて女性の可能性を紐解く3つの鍵を紹介したいと思います。3つの鍵とは:

  • 上層部からのリーダーシップ
  • 全てのレベルでの起用
  • 全員の成功を促進する環境

リーダーシップ。起用。環境。一つ一つ順番に説明していきたいと思います。

安倍総理大臣は上層部からのリーダーシップが重要であることを実証しました。リーダーは基調を打ち出します。これは発言だけでなく行動でも示します。1990年代後半、当時の最高経営責任者以降、ロッキード・マーティン前任最高経営責任者の方々がこの思いを入れてくれたことを誇りに思っています。当時の最高経営責任者と他の幹部の人たちは、多くの従業員が定年に近づいていることを予知しました。また、彼らはSTEM分野と呼ばれる科学、工業、工学、数学の学位を持っている候補者たちが需要に追いついていなことを実感しました。

そこでロッキード・マーティンは、女性に焦点を当て新しい才能を発掘し、呼び寄せ、引き止めることにしました。どうやって実現したでしょうか。

10年以上の間、ロッキード・マーティンは「女性明日へ加速」というプログラムに投資しています。この一連のプログラム、過程、およびツールは、社内および社会における女性の昇進を支援しています。弊社は、多様性と包含性それを受け入れる事を推奨する才能管理システムを開発しました。リーダー全員の包含性を高めるワークショップを立ち上げました。また、弊社は年齢に関係なく女性がSTEMの職種に就くことを奨励する努力をしてきました。

まず弊社の社長、最高執行責任者、および管理職チームの幹部が指揮を取る多様性実行委員会を設立しました。1年目に、委員会は多様性ビジョンおよび弊社のビジネス目標に合った使命を確立しました。その後、その基盤を積み上げています。

私がこれらの進展を紹介しているのは、2013年に最高経営責任者になった時、それほどの飛躍ではなかったということを強調したいからです。何年も行われていた女性のリクルート、開拓、および昇進という意図的な過程において、むしろ自然な経過でした。この過程は上層部から始まり、会社全体が知っていました。

女性の可能性を紐解く2番目の鍵は、女性を全てのレベルで起用することです。一つには、指導者を持つ文化を形成するという意味になります。これにより、就職したばかりの女性が技能を向上させる機会を持つことができます。

私の場合は、30年前に初めて飛行機生産ラインを見た時からロッキード・マーティンでどれだけ働きたいか分かっていました。業界固有の技術、使命、顧客、および価値観にすぐに引かれました。幸いにも、私には始めから私の実績に投資してくれた上司が社内にいました。

業務オペレーション担当副社長が私の可能性を見い出してくれ、2万1千人の従業員の内4人しか参加できない少人数の管理者育成プログラムに推薦してくれました。彼には推薦状を準備する以上の心行きが必要でした。私の仕事場の確約もしなければなりませんでした。プログラムが終了した時、私の仕事場を保障しなければりませんでした。そして、私がプログラムに受け入れられた時、その経験を最大限に生かし、次の職務の準備ができていることを確認する手助けを彼はしてくれました。

2年のプログラムの後、彼は私を最初の部門管理職に昇進してくれました。この経験が私の仕事の転機となりました。すべては会社の副社長が私の能力を信じてくれ、世話をしてくれ、昇進の手助けをしてくれたからです。このような手助けは重要です。

そして、自身およびお互いの昇進に努めるのと同様、女性を支援することも重要です。自分の仕事の責任を全うすることは、自分の仕事に実力を与え、また自分の仕事から実力を得ることができるからです。また、一緒に仕事をすることは、お互いの前進を助け、会社の繁栄に貢献します。

これが私たちがロッキード・マーティンでやったことです。私が約8人の女性管理職のうちの1人だった2001年当時、毎月昼食会を開き、そこでいっしょにビジネス問題、家庭問題、および技能向上について話し合いました。しだいに社内の女性が増えるにつれ、毎年、女性リーダーシップフォーラムを開き、社内の全てのレベルの女性社員を招いて会話をするようになりました。

現在、ロッキード・マーティンの300人以上の女性社員がこの重要なイベントに毎年参加するようになりました。イベントでは、ネットワークを形成し、成功例を紹介し合い、職場特有の問題点を話し合い、次の世代の女性リーダーを支援する新しい方法を探ったりしています。

将来のリーダーの一人に、弊社の宇宙システム事業部社員、エドウィナ・ペイズリーがいます。彼女は、これらのイベントに初めて参加した時、「元気づけられた」と言っています。社内の他の女性社員とのネットワーク、およびロッキード・マーティンの他のビジネスにおける活力になる、と彼女は話しています。エドウィナには、リーダーシップフォーラムのメンバーであり、彼女の指導者でもある副社長がいるそうです。確立され尊敬される女性リーダーとのネットワークを形成することにより、彼女は以前の職務とは大きく異なる機会を進んで探すことができるようになりました。

現在、エドウィナは、工学経験および社内ネットワークを通じて、躍進する宇宙開発における会社の競争力をつけることで、弊社の商業宇宙部門が一から国際ビジネスを構築できるよう支援をしています。すべては、他の女性社員とリーダーによる支えと手助けのおかげです。

これが、女性の可能性を紐解く3番目の鍵、全員の成功を促進する支援環境の形成につながるわけです。

活動的で、仕事野心が強く、家庭や子供もほしい女性にとって、しばしばビジネス環境は困難なものです。選択を強いられるのは誰でもいやです。ですが、選択を強いられる必要はないと私は考えます。

私も家庭と仕事を両立するのに苦労してきました。しかし、私はいつも最高のお手本である母から元気をもらってきました。私が9歳の時、父が他界し、母は5人の子供を一人で育てなければなりませんでした。しかし、母は積極的な態度を忘れませんでした。母は、いつも困難を機会に変えることの重要性を強調しました。母は、最高のリーダーは目標を原動力にし、残した影響が自分の足跡よりも大きくなくてはならないことを理解していました。今でも、どんなに大変なことがあっても、母の衰えることのない楽観主義が私の原動力になります。

母の例は、障害に直面しても機会を探し、これらの障害を他人のために打ち砕く方法を探さなければならないということを思い出させてくれます。全ての従業員に、職場および家庭で最高の仕事をする機会を与えるために、ビジネスのリーダーたちにできることがあります。

企業はあからさまな差別を排除する努力をしてきましたが、マッキンゼー・アンド・カンパニーの報告によると、女性を後退させる要因の中で最も怖いのが強固な信念です。男女を問わず管理者はしばしば、女性は特定の仕事と家庭の責任を両立できないと思っているため、有望な女性候補者を落としてしまいます。また、マッキンゼーの調査では、多くの女性はより責任の重い仕事がまだできないと信じているために、自ら妨げになっていることが分かりました。これを受け入れるわけにはいきません。

私たちは引き続き、考え方を変える努力をしていかなければなりません。私たちは引き続き、次の世代を教育し、資格のある仕事は何でも追求できるという実力を女性が感じ取り、その機会が与えられなければなりません。それを実現するためには、若い女性たちに強力な可能性を示す必要があります。

ロッキード・マーティンでは、この新しい世代を育成するための多くのプログラムに投資してきました。その一つは「ガールズ社(Girls, Inc.)」という団体と行っているプログラムで、若い女性たちに勇敢で、賢明になってもらい、新しいことを学んでもらうことを目的としています。

ロリ・ブライアント先生医師がいい例です。ロリは小児科救急医で、ガールズ社出身です。彼女は、自分は他の人たちと違っていると感じた時に、ガールズ社から受けた支えは自分の目標を達成する上で大変役に立ったと言っています。ロリがお世話になった青年カウンセラーは、ロリがいつもお医者さんになりたいと言っていたため、ロリのことを「先生」と呼んていました。指導者が夢は本当に実現できるかのように話しかけたことは、それを実現するのに大変効果がありました。現在、ロリ・ブライアント先生はガールズ社に携わっていて、自ら若い女性たちを勇気づけています。先生の経歴で子供たちの興味がかきたてられ、科学の話をしたがるそうです。

ブライアント先生のように、現在また未来の女性リーダーが星に手を差し伸べ、目標を達成できる環境を作る機会と責任が私たち一人一人にはあります。最終的には、女性は非常な 素晴らしいことができ、誰も自分自身を制限してはならないということを少年少女みんなに知ってもらいたいのです。

私たちが躍進できるかどうかは私たち次第です。これは、上からリーダーシップを取り、全てのレベルで女性を起用し、みんなの成功を促進する環境を形成することで実現できます。これらが、女性の可能性を紐解く3つの鍵です。私たちすべてにとっては、これらが成長、革新、および継続的成功を紐解く鍵なのです。

日本の国旗には昇る太陽、この国すべての人に輝く太陽が堂々と描かれています。私たちは、これらすべての人が輝きを返すことができることを知っています。

安部総理大臣、岸田外務大臣、賓客、来賓の方々、世界の女性は飛躍することを待ち望んでいます。世界の女性は今、活躍する時です。世界の女性は今、卓越する時です。世界の女性は今、影響を与える時です。世界の女性が輝けば輝くほど、私たちの未来も明るくなるのです。

ありがとうございました。